思考の社会学 ~心理学革命~

人それぞれ、様々な個性的思考のもと、論議し生活している。我々は人々に影響を与え、影響を受け、時代が変わってきた。 そんな様々な思考が交錯することで生じる時代変化など、心理学的にまた社会学的に考察する。

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四段・二段・一段活用の思考パターン ~古語・二段活用における対応一音語幹~



古語文法の動詞活用において変則ものを除けば、四段・二段・一段の三つに分類できる。その中の終止形を見ますと、四段活用に習った上下二段活用であり、上下一段活用のみが終止形で『る』を追加した形である。つまり一段活用が先行した形で新たな文法体系を築き始めたと予想できる。(古語二段活用の現代における一段化は、先行していた古語一段活用への移行と同等である)

古語一段活用の当時における新たな特徴は、(1)語幹部が上イ段・下エ段のそれぞれに対応する一音であることと(2)終止形『る』によるラ行活用の部分適用の二点にあったのだ。特に下一段活用の唯一『蹴る』が『くう・くゑる』から派生したものらしいので、もし仮に『くゑ・る』が対応エ段に相当する語幹部一音化『け・る』に至っていなければ、下二段活用の『くゑ・くゑ・くう・くうる・くうれ・くゑよ』になっていたことだろう。

逆に二段活用の変化語尾ラ行のものを見ますと、上二段『下(お)る』『懲(こ)る』『許(ゆ)る』下二段『枯る』『垂る』『晴る』『熟る』『暮る』『濡る』とそれぞれの対応イ段やエ段の一音語幹ではありません。もし対応上イ段と下エ段の一音語幹となったならば、おそらくそれは一段活用になっていたことでしょう。(現代の下一終止形『得る』『寝る』『経る』は、古語・下二終止形の段階では『う』『ぬ』『ふ』とエ段ではなくウ段であった)


おおよその各四段・二段・一段パターンの成立順序については、土着化した四段活用に一段活用が加わり、そして二段活用が派生したと思われる。つまり単純に四段活用から二段活用、一段活用と、必ずしも順に活用母音数を減らしたパターンとなって加わって来たわけでないのである。

おそらく二段活用の終止形に『る』が加わっていないのは伝統的な四段活用を見習った結果であろうが、それは二段活用が必ずしも一段活用より先行していたことを意味せず、むしろ四段活用と一段活用の双方を眺めつつ、終止形や連体形・已然形のウ段接続に関しては伝統的な四段活用を受け継ぎ、そして他の未然形などでは上一段の方を採用した、そんな混合活用であった可能性もあるのだ。

では四段活用と上一段活用の前後関係はどうだろう?

一段活用の終止形では『る』の接続が統一パターンなので、 明らかに一段活用の方が人為的な後発の活用である。また新たな活用パターンであるため、上二段ではイ段一音語幹、下二段ではエ段一音語幹と、語彙を単純かつ限定させた統一的な規則適用になっている。

また一段活用と言っても、上一段活用が中心となった後発パターン化であったようだ。それは下一段活用の場合、語幹も『蹴る』に限定されていましたし、『得(う)』『寝(ぬ)』『経(ふ)』とエ段化が進んでいなかったことでわかります。(すると上二段活用が進行して行った中で、語幹イ段一音のものが上一段活用として独立して行った可能性もあるが、やはり上一段の終止形『る』の接続を考えれば、上二段からの独立よりかは独立的な上一段の発生と思われる)


ところで漢字の到来によって文字化された昔の日本語なのですが、しかし文字化される以前にも活用体系の漸進的な形成変化がなされていたと思われます。すると上記で推測したように、まだ二段活用パターンがなく、土着的な四段活用に上一段活用が加わり始めようとしていた時期が想定できます。

そんな上一段活用が形成され始めた時期について考えますと、そこには動詞の名詞化が強く働いていたと言えます。動詞の名詞化にはウ段動詞語尾からイ段名詞化とエ段名詞化がありますが、その上一段活用に対応するイ段名詞化が新たな活用パターンを発生させた感じです。

まず四段活用の中で語幹・イ段一音で活用語尾・ラ行の動詞には『入(い)る』『切る』『知る』『散る』などがありますが、それらの名詞化は『お気に入り』『千切り』『もの知り』『散り際』のように活用部のイ段『り』で終わります。一方の上一段活用の『着る』『似る』『見る』などは『晴れ着』『空似』『覗き見』と語頭部イ段の一音で表現されます。

逆から言いますと、実は新たに発生した上一段活用パターンとは、イ段一音名詞に『る』を接続させた動詞化の結果なのです。それは古語の助動詞にも受身・尊敬・自発・可能を表す『る』と似ているところがありますが、しかし四段活用にたいしては未然形接続の助動詞であるためア段接続に相当していますし、また活用については下二段ですので、二段活用なき四段活用中心の時期という前提からしますと親近性は薄く、もっと後になってからの親近形成と思われます。

古語活用の動詞終止形で『る』で終わるのは一段活用と四段や二段のラ行活用に限られ、カ変やサ変でさえ避けられていました。つまり四段活用以外の連体形では足並みを揃えて『る』が接続されているのに、一段活用以外の終止形では避けられているのです。それは土着的な四段活用の連体形のような後続の体言にかかる場合ならば適する『る』であって、上一段活用の終止形に接続する『る』の場合には、後々の文字化されてからも異例であったわけですから、当然形成され始めた頃は異例だったと考えられ、しかも新たな規則に支えられていたからこそ成立形成されたと言えます。



前記事では森山直太朗の『さくら(独唱)』から、大野氏によってタミル語対応語と見なされた、語幹部一音のラ行四段活用の動詞『なる』『張る』『散る』『知る』をあげておきましたが、ひょっとしたらタミル語到来によって上一段活用の発生が促進されたかも知れない、そんな理論的可能性が残されているのであります。





大野氏の「日本語の起源」から、タミル語対応語と考えられた語幹部イ段一音の『る』接続動詞たち。

上一段活用

見る。
なる。

四段活用

入(い)る。
切る。
知る。
散る。



イ段以外では『なる』『垂る』『張る』『割る』、『熟る』『擦る』、『織る』『剃る』『掘る』『守(も)る』もあり。
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  1. 2014/07/07(月) 19:47:23|
  2. 新しい日本人論
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