思考の社会学 ~心理学革命~

人それぞれ、様々な個性的思考のもと、論議し生活している。我々は人々に影響を与え、影響を受け、時代が変わってきた。 そんな様々な思考が交錯することで生じる時代変化など、心理学的にまた社会学的に考察する。

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「また君に恋してる」

今、坂本冬美の「また君に恋してる」が流行っているらしい。もとは07年、ビリーバンバンが先行リリースした歌で、彼らのヒット曲、68年「白いブランコ」、72年「さよならをするために」なんかが思い浮かぶ。
計算をしてみれば、もう40年前の出来事だ。そこで今「また君に恋してる」の心に染みる理由を考えてみたいのだが、一つにビリーバンバンの歌った曲に共通すると思われる"さまよった思い出"がキーワードになると思う。
「白いブランコ」を聞けば、過去の白いブランコを思い出している自分がいて、その相手が思い出をどうしているかさえわからない状況である。その白いブランコの思い出を、今どうしているかもわからない相手がどうしているかを問う出だしだ。
「さよならをするために」の場合は、歌詞に整合性が感じられない。それはむしろ女性遍歴に整合性を持たせようとする気持ちをあらわした結果だと思う。やはりさまよう思い出がテーマで、これからのくらしのため、その思い出とさよならをしたい気持ちをあらわしている曲だ。「今のあなたにきっと、わかるはずはないの」の部分では、さまよう思い出、いや、さまよう思い出の処理方法がうごめくようだ。個人的にはクールファイブの「東京砂漠」76と狩人の「あずさ2号」77が混在した雰囲気の曲に思える。
そして平成の「また君に恋してる」にしても、さまよう思い出が絡んでいる。自身は思い出から現在までの過程を思い描いているが、相手の側は思い出に向いていない。明日の生活のため休息をとっているのだ。また自身の思い出想起を相手に伝えたい意思などもない。松任谷由美の「守ってあげたい」や岩崎宏美の「聖母のララバイ」のように見守りたい意味合いは全くなく、ただ見ていたいだけの願望だ。社会適応のため"見られる自分"ばかりに意識を向けてきたが、ここらで一つ、本来人間に備わっている"見ていたい欲望"に気づきたいところだ。
譬えれば、「鶴の恩返し」の鶴が、老夫婦のくらしを見ながら自分の使命に徹したい気持ちと似ていて、異なっている点は、相手は寝ているため、こちらの思いを覗き見される心配はないといったところである。鶴はわからない人に自らの思いを見せてはいけない。鶴とは、竜宮城の接待で反省した浦島太郎なのだから。鶴は物事に詳しくないが優しい人々の平穏無事を願う。しかしその詳しくがない人々のゆえ、彼らに自身の思いを見せてはならないのである。「また君に恋してる」思いは、明日の生活に挑む相手には見せてはいけないことである。悔いがないように相手に告白する傾向の中、この曲に昭和の香りが感じられるのだろうか。歌手・坂本冬美に「冬」があるのは、鶴の視線に合うものかも知れないし、また「そんな鶴の気持ちでいる自分が好き」といった平成の香り漂う意識も入り込めない曲調に仕上がっている点も重要だ。しかし大半の聞き手は、「また君に恋してる」のサビの部分に集中して、さまよう昭和の視線までは届かないだろう。

デフレ不況の新たな目標となる社会像が見えない中、今こうした状況にいたった過去からの経過を、訳もわからず確かめることは、よいことだ。意識的な努力だけでは、どうにもならない気持ちが、「また君に恋してる」の人気になっていると思う。
一方、「また君に恋してる」には、ビリーバンバンを通した70年代の復興の要素があると見なしてよかろう。70年代は"カモメ"に"さまよう個人"を重ねて見る傾向にあったのに比べて、「また君に恋してる」では、さまよっているのは"思い出想起"であり、見ているのは相手の寝顔である。この微妙なズレが今の平成の時代と共振していると思わざる負えない。私としては、"さまよう個人"の自己啓発から、"過去を背負った現在"を見る欲望へ時代が移行するのを期待したいが、"見られる自分"へと扇動したい勢力の存在に、大半の人々の意識が及んでいないから無理だろう。

それにしても今年の桜の散る姿、人々には一体どう映るのだろうか?さあ、夜桜お七の視線に注目だ!


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  1. 2010/04/06(火) 06:25:21|
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