思考の社会学 ~心理学革命~

人それぞれ、様々な個性的思考のもと、論議し生活している。我々は人々に影響を与え、影響を受け、時代が変わってきた。 そんな様々な思考が交錯することで生じる時代変化など、心理学的にまた社会学的に考察する。

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作家型と登場人物型 (2) ~シェークスピア『ヴェニスの商人』~




前記事ではアイスキュロスの『縛られたプロメテウス』から、ジョンのプロメテウス的登場人物型とポールのアイスキュロス的作家型とに簡単な分類をしてみましたが、それを応用すること1600年前後のイギリスでたとえてみるならば、たとえばリア王もしくはコーディリアを追究するジョンであり、その物語を伝えるシェークスピアがポールと言うことになります。



そこではじめに注意しておきたいこととは、Eleanor Rigby の弦重奏に影響を与えたヴィヴァルディの拠点地であるヴェネツィアのことでありまして、ポールがヴィヴァルディを意識したこととシェークスピアがヴェネツィアを意識したことの、時代を隔てた上で尚も有している『イギリスから見たヴェネツィア』という共通性であります。

たとえば『ルネサンス』という歴史学用語の普及に一役買ったブルクハルトの『イタリア・ルネサンスの文化』1860 によりますと、15世紀末のヴェネツィアでは敵方の戦争負傷者を含めた看護がなされたために世の驚嘆の的であったと記されています。それはまるでクリミア戦争において看護にあたったイギリスのナイチンゲールを彷彿させるものど言えます。すればヴィヴァルディを意識した Eleanor Rigby とは、中世ヴェネツィア共和国の看護状況と則したナイチンゲールの歌にも思えてくるのです。

すればヴェネツィアを題材に扱ったシェークスピアの『ヴェニスの商人』には、敵味方の分け隔てををしなかったとされるヴェネツィアの看護状態についても考慮しなければなりませんし、あるいはまた『ヴェニスの商人』にユダヤ人シャイロックが登場することと、はじめてユダヤ人隔離居住区がゲットーと呼ばれ地域がヴェネツィアとされていることの関連性も、非常に気になるところです。

しかし何故、人類的な看護と差別的ゲットーが同じヴェネツィアで先行したのだろうか?一つ推測することには、争いを『途上の不和』という考えを共有していたからと考えられます。つまり負傷者とは途上の不和からの降板であり、ユダヤ人とはキリスト教に至るまでの途上の人々と見なされていたと推測できます。

一体どのくらいシェークスピアが実際のヴェネツィアを考慮して創作されたのか定かでありませんが、登場人物のユダヤ人シャイロックにキリスト教への改宗が求められるあらすじには何かヴェネツィアにおける『途上の不和』の理念が予感され、またユダヤ人シャイロックへ慈悲 (mercy) を求める行には、おそらくヴェネツィアの一側面が象徴されていたものと考えておきたい。

そしてシェークスピアの時代から遅れること、音楽を通してヴェネツィアのピエタ慈善院 (Ospedale della Piet) と関わることとなったヴィヴァルディ (1678-1741) が現れました 。きっと Eleanor Rigby のヴィヴァルディ調の弦重奏には、シェークスピアの『ヴェニスの商人』を通した作家型のポールのヴォーカルが似合うのでしょう。


ヴィヴァルディ 『調和の霊感』 第六番

L'estro Armonico No.6



【付録】

スタンダール (1783-1842) は『恋愛論』にて、数人の旅行記を読んだためなのか、1760年のヴェネツィアを見れなかったことを残念だったとしている。彼によると、当時のヴェネツィアは内乱も犯罪も絶えてなくなり、誰も実際以上に金持ちに見られたいと思わなかったらしい。そして偽善は何の役にも立たず、1822年のロンドンとは正反対だったとしている。


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  1. 2012/08/24(金) 20:17:47|
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