思考の社会学 ~心理学革命~

人それぞれ、様々な個性的思考のもと、論議し生活している。我々は人々に影響を与え、影響を受け、時代が変わってきた。 そんな様々な思考が交錯することで生じる時代変化など、心理学的にまた社会学的に考察する。

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日だまりテレビと地下室ネット ~もぐら叩きの観察は地下室で~




さてドストエフスキー『地下室の手記』1864 の頃のロシアの状況とはどんなものだったかと言いますと、ニヒリズムの語が用いられたツルゲーネフ『父と子』1862 の時期でありまして、都市部の知識階級が『人民の中へ』(ВНарод) をスローガンに社会改革を目指しながらも、結局は農村部の協力を得れないことが明らかになった時期でありました。

つまり西欧勢力が台頭して来た中、新たな社会思想の少数派と伝統的多数派の考え方との間に大きな違いが生じたこと深く関係し、『地下室の手記』とは『人民の中へ』の意思がありながら挫折した知識階級的なニヒリズムの様相を呈したものと言えます。



一方その頃の日本と言いますと1853年の黒船来航でありまして、ロシアと等しく欧米勢力の侵入を問題としていた時期でありました。ただし日本の場合、幕府側の開国方針に危惧を覚えた薩長が中心となって【政治的意識による協力で新たな体制を整えた】わけですから、ロシアの【実存主義的なニヒリズム文学】とは異なっています。

同じ文学の領域で言うならば、地下室からではなくて猫に扮装した形で人間評論を描いた夏目漱石『我輩は猫である』でありまして、やがてその系統から自殺で人生を終えた『ぼんやりとした不安』の芥川龍之介や『無頼派』の太宰治などの昭和初期の段階になり、ようやくロシアのニヒリズム地下室の領域に接近したと考えられます。



日本とは異なって、西欧勢力が侵入し始めた早い時期から政党的な方法ではない『人民の中へ』を試みて挫折した知識人的なニヒリズムが起きたロシアだったために、やがてアナーキズムを経て大国社会主義になったロシアと言えます。それは【西欧自由主義の拒否】と【経済圏分裂化の回避】を意味し、新たな近所の競争を招くよりかは新たな一極統治に多数で耐える方を自ら選んだ結果である。

しかし日本では新たな明治維新の推進力となった志士たちが中心となって西欧思想を学び、一種の知識階級となって君臨し始めました。それは『人民の中へ』というよりは立身出世の施設を自称した『人民の品定め』というものであり、しかも日本独自の西欧解釈であったため、イギリス留学の経験がある夏目漱石が『外発的開化』と呼んだわけである。



明らかに大国社会主義のロシアと明治維新の日本とでは大きく西欧勢力にたいしての対応が異なっていたわけでありますが、やがて1960年代の安保闘争や学生運動が終焉した日本におきましては、一種の1860年代ロシアにおけるニヒリズムにも似た、『しらけ』'71 や『燃え尽き症候群』が生じ、一般社会に広がり始めた感じです。

もはや雑誌やテレビによる売上向上が『効果ある人民の中へ』の主要拠点となった時期と思われ、またアメリカとロシアの大国冷たい戦争のような危険意識に疎かったことも合わさってか、学生運動収束以降の1970年代からは社会意識を問題とする『人民の中へ』は衰退し、資本主義の立身出世的な『人民の中へ』に限定されるようになったのであります。


なるほど、まだ『アングラ』'67 と積極的に称されていた間は活気ある地下活動と見なせるわけですが、1970年代以降は次第に水面下で広がり始めた趣味的な『地下室の手記』となったためなのか、『おたく』'89 の発生を招いたとも考えられるのです。若干たとえがマズいかも知れませんが、1990年代前半のオウム真理教の拡大にしても、一種の地下室が閉鎖的に集団化したもののように思えてしまうのです。



今や『お客様のため』が当然の名目となっている産業中心社会の様相は、一種の19世紀ロシアの『人民の中へ』と似た響きのスローガンなのです。しかし現代は実際の収益性によって判定される傾向にあり、そのため挫折は『お客様のためになっていない』と判定されるのみなのである。

しかし19世紀ロシアの地下室の場合は、逆に『お客様意識』についての評論を行ったのである。お客様のため資本主義の立場からすれば、何やら『地下室の手記』に自己正当化を感じることにもなるわけですが、逆に現代のネット社会の可能性からすれば、特別に『人民のため』の収益を要しないため、日常の言葉使いの裏側に潜んでいた心の地下室が用意されたものと言えます。



もぐら叩きの観察は地下室から行うのが基本です。


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  1. 2012/07/08(日) 19:19:23|
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