思考の社会学 ~心理学革命~

人それぞれ、様々な個性的思考のもと、論議し生活している。我々は人々に影響を与え、影響を受け、時代が変わってきた。 そんな様々な思考が交錯することで生じる時代変化など、心理学的にまた社会学的に考察する。

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12人目の知恵

ある偉人が人々に尊敬され崇められていた。彼の生まれは貧しく蔑まれていたが、ある知恵を授かり、次第に尊敬され崇められるにいたった。

彼が尊敬され崇められるようになると、その噂は各地へと広まり、ある人々たちは先頭に立って近所の人々に紹介しようと偉人なる彼に近づいて行った。偉人たる彼は、新たに親しそうに近づいて来る人々と出会い言った。「あなたが見たこと聞いたことについては語ってよいが、私については語ってはいけない」と。

彼らは街へ帰ると、それぞれ人々を集めて、かの噂の偉人について語り始めた。彼らには、かの偉人の言った区別がわからなかったのである。

再度、彼らは幾人かの弟子を連れて偉人のもとへ出向くと、弟子達に自らの偉人との対面を見せたいがために親しそうに語りかけた。すると偉人は言った。「あなたは見えないこと、聞こえないことを忘れた。つまり知恵を授かる前の私を、見捨てたのである」と。続けて「あなたは私の知恵を嫌い、そしてほかの誰かの知恵の方を讃えることになるだろう。」

さっそく彼らは態度を翻し、弟子をそれぞれ連れて帰っては、街中に言いふらした。「人は有名になると天狗になり、謙虚を忘れる」と。

そんな周囲の評判が広まってくると、かの偉人を尊敬し崇めていた者達も、次々とそれぞれの事情により彼のもとを去った。「彼は知恵を愛したが、人を愛することを知らない」、「彼には協力と許し合いの精神が欠けている」、「彼は自分を対処できないくせに、世界を語っただけだった」などと、それぞれがそれぞれのことを言って離れていった。

残されたのは結局11人の弟子であったが、最後に離れた12人目が放った言葉とは、「あなたは馬鹿だ。せっかくの人脈拡張の機会を、自己陶酔の趣味のために、わざわざ取り逃がした」であった。すると偉人は答えて言った。

「あなたは尊敬や賞賛されるより、尊敬や賞賛をする方が得であると思っていた。しかし街の長者が私に近づいて来た時、あなたは先にここにいたにも関わらず、それと競争することがなかったことを、私は知っている。
今日まであなたがここに残っていたのは、あなたより先に離れていった人々が何を言うのかを、あなたの耳に残すためであった。やがてあなたが街の長者たちを下した後、私から離れて行った人々から尊敬され賞賛されなければならなくなり、そして私が見ていたものを見ることになるだろう。
善悪はありません。さあ、そのための知恵は与えられました。思うがままに、ここから離れて行きなさい。私はあなたにもっと知恵を与えてやらなければならなかったのかも知れないが、その術は私に与えられていなかった。あなたが右へ行くのであれば、私は左へ向かい、あなたが左へ行くのであれば、私は右へ向かうでしょう。」

最後の12人目が離れたところで、なお周囲の非難は高まり治まる気配さえなかったため、弟子11人には二度と人前で自分の話をしないことを命じ、「私の任務は11人にまとめることであり、ここにやり終えた」と、ここから離れる旨を伝えた。偉人には娘二人と生まれて間もない息子がいて、彼ら弟子の内のいずれかの息子二人と娘二人とを結婚させるようにと約束させ、娘二人を残し、その場所から妻と息子と共に離れた。その後の夫妻と息子の行方は定かではない。



時は流れた。人は語れることを語り、語りたくないことは語らなかった。すでに「みにくいアヒルの子」や「シンデレラ」は記された。またそれを読む姿も記された。しかし「君主論」は記されたが、それを読む姿がまだ記されていない。そういう訳で、かの偉人の子孫たちを思うと共に、ここに「12人目の知恵」として記されるにいたった。


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  1. 2010/06/09(水) 20:16:23|
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