思考の社会学 〜心理学革命〜
分析バカ フロイト・チルドレン
2010/04/18 21:35

フロイト以来、精神分析なる用語が巷に広まった。しかし人々は「分析」についてどれだけ知っているのだろうか。分析のおおよその意味は、"分解して解析する"ということだと思っている私だが、「心理学」とか「精神学」と呼ばず、「精神分析」としたことに意味がある。

「心理学」、「精神学」という名称は、画家の描いた「キャンバス」と言うようなものだ。画家という心理学者や精神学者が描いた人間についての理論がそこに描かれている。一方、「精神分析」という名称は「絵画技法」と言っているようなものである。目、鼻、耳、口など一つ一つ分けて仕上げて行くから、みんなは私の「絵画技法」の腕前を見ていてくれと、呼びかけているようなものだ。

そもそも「精神分析」とは、はじめに「精神学」の理論があってこそ成立する。そのある精神学の理論を元に、現実の人間との対面から様々な情報を少しずつ得て、その全容を解釈していこうとするもので、「少しずつ」「解明」を意味するのが「分析」なのである。つまり、はじめに用意されるべき【精神学の理論】については、我々一般人には示す必要がないと思って名付けられたのが「精神分析」なのである。その名が広く知れ渡るということとは、つまり「分析者」という職業が認知されたことを意味し、かつその元となっている精神学の理論については、ただ分析者たちの職業上の専門分野として囲われたことを意味するのである。

パソコンを例に出せば、わかりやすいかも知れない。あるデータを入力すると、ある性格判断の結果が引き出されるソフトが入っているとしよう。まさにソフトが"精神学の理論"であり、データ入力とその処理が"分析"である。「心理学」や「精神学」の名称の場合は、「このソフトの出来具合を、みんな見てくれ」、「不備があったら、みんなで改革していこうぜ!」とまだ宣伝していた訳だが、「精神分析」の名称となると、ソフトの制作者の状況は全面に押し出されなくなったのである。彼らは「性格判断を望む方は、データを持参の上、ご来店ください」と言っているのである。

テレビをはじめとするメイディアの中で、専門家に分析を求めている光景を思い描いて見よう。たいていの専門家の口調は心理学者としての一般視聴者に向けられた発言であって、いろんな学派の中の一つとして語るような者は極々少数であろう。普段の研究活動において、しっかりと様々な学派との交流を通しているのならば、まだましなのたが、実際のところは、どうなんだろう……

今や「アダルト・チルドレン」、「小泉チルドレン」、「小沢チルドレン」などと、人のことをチルドレンと名付けては、自分のアダルト気分をそっと演出する時代です。自らの大人観は示すことはなく、言論の自由のもと、「チルドレン」の名称づけで調子にのりましょう。
そんな訳で、私も時代にあやかり言わせて貰うこととなりますが、現在、精神分析や心理学の用語によって一般人の前で説いてる方々とは、つまり「フロイト・チルドレン」であります。彼らは理論内容の吟味なんかは、興味ありません。講演会なりテレビ出演なり、お呼ばれされることの方がとても大事な人たちです。
まあ彼らのことは、学芸会の出番を楽しみにしている子供と一緒と考えておくと、わかりやすいかも知れませんね。講演会の拝聴者のみなさんも、子供の学芸会的演説なのですから、理論内容の批判などは決していたしません。もし仮に批判などをしようものなら、学芸会を打ち壊す反乱分子と見なされてしまいます。拝聴者一同様は、一生懸命に講演されるフロイトチルドレンの晴れ舞台に、喜びと未来を感じて帰宅しなければならないでしょう。だから彼らの演説説明についてあれこれ言うのは、大人げないことなのです。我々は、彼らがみんなに聞いてもらおうと一生懸命に工夫をこらした、そのことについて感動するべきなのです。フロイトチルドレンにとっては、社会全体の影響はどうでもいいことであって、講演会などに集まってくれる大人の方々に、自らの成長を見せることが第一目的ですから。
もし我々が社会生活に苦しんだ末、深刻な心的悩みが生じた際には、フロイトチルドレンの意見内容なんか真剣に聞く必要など全くなく、むしろ彼らが人に聞いてもらうために随分と工夫をこらしてきたであろうことに感動し、勇気なんかを貰いましょう。

是非これから彼ら専門家の発言を御拝聴する際には、その「分析」の響き、視線、しぐさなどをよく観察するとよいでしょう。慣れない内は、気持ち悪く、イラっとする者なんかが目に付いて仕方がないかも知れないが、彼が何を意識して生きてきたか、どんな社会観を抱いているのかを察して、不愉快ながらも結構可愛いらしく感じられるようになったのならば、自身の人間観察力がついたと見て良いでしょう。


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